プレーンスケープ トーメント 非公式小説

衝動の試練

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 私は小さな部屋に出現した。五体の像が半円状に並び、中央の円形の水盤のほうを向いている。水盤の上には、妙な輝く水晶が浮かんでいる。部屋を確認する時間はほとんどなかった。燃えさかる人物がいることに気づいたからだ。イグナス。以前対峙した時の怒りが、明らかに彼を蝕み、狂気へと駆り立てている。おそらく、正確には狂気ではない。彼が崇拝する火の元素が、人間性をほとんど焼き尽くしたのだ。彼は即座に襲ってきた。

「貴҉様を҉燃や҉し、そ҉して҉次元҉界に҉火を҉つけ҉るの҉だ」

 彼は叫び、私に炎の呪文を放った。私は自らの魔法エネルギーを利用して反撃した。

「炎҉が貴҉様を҉喰ら҉い尽҉くす҉だろ҉う」

 かがり火が燃えるかのように、彼がうなった。しかし私の呪文が彼を押し戻し、追い詰めた。

「空は҉炎にな҉り、すべ҉ての命҉は松明҉になる҉だろう」

 そうつぶやいた直後に、私の呪文が彼を打ち倒した。私はぼろぼろのイグナスに駆け寄った。彼は死にかけていた。私は膝をつき、彼の体を抱き寄せた。その声はとても小さく、頭をすぐそばに近づけなければならなかった。

「主҉人よ、赦してくれ。俺҉はあなたの教えに背いたのだ」

 私の過去によって苦しんだ人々を、すべて助けることはできないのだと、受け入れるしかなかった。その大多数が、イグナスのように死者帳ししゃちょうに記され、善かれ悪しかれ手の届かないところに行ってしまった。私はイグナスの遺体を、優しく地面に寝かせた。

 そして部屋を見回し、像が私であることに気づいた。なぜここにあるのかといぶかしみながら、それぞれの像を調べた。そして一体の像の後ろに、奇妙な石が隠されていることに気づいた。何年もここに置かれていたかのように塵に覆われた、薄黒い石だ—像の一部が削り取られたもののように見える。不思議なルーンと印が、石の表面を飾っている。

 奇妙な既視感を覚えた。石に触れると、側面に口があらわれ、私の声で喋りはじめた。その声は、巨大な部屋の中で話しているかのように響いた。

「ダッコン、モーテ、ザカリア、ダイアナーラ—私だ。この石に簡単な伝言の魔法を残す。しっかりと聞き、私の言うとおりにしろ」

 声は息をついた。苛立っているように聞こえる。

「なぜ離ればなれになったかは分からないが、私たちをここに導いたポータルのせいだろう。これはわずかな後退に過ぎない—この石を見つけたら、私が戻るまでそこにいろ。推測では、この〈要塞〉は都市数個分の規模がある—お前たちが動き回らなければ、それだけ私が見つけやすくなる」

 再び息をつき、何かを調べているかのように声が遠くなった。

「私はいくつかの地下室を切り抜けた。この場所は影たちで満ちている。戦い続けるには多すぎる—もし出会ったら、群がられる前に逃げろ。これまで出会った影よりも手強い。この次元界のエネルギーが彼らを養い、強めているのだろう」

 声はまた息をついた。

「地下室には複数の巨大な戦争遺物があり、それを使って転移することができた。私はそれぞれの装置に影を引きつけてから転移し、脱出する時間を稼いだ。四つの遺物を起動すると、ポータルが開いた」

 何かが起きたかのように、声が途切れた。

「今気づいたが、あの地下室はある種の門番小屋だったのかもしれない—あの遺物が部屋を中から、そして外から封じていたようだ。この場所を築いた何者かは、影たちが野放しにならないよう監視しておきたいのだろう。実体のない影たちは、装置を使って地下室から出ることができない。ふ~~む。この件は、もう少し考えてみるべきか……」

「いや、いいだろう—今は巨大な水晶がある部屋にいる。進む前に、調べてみるつもりだ」

 周囲を見回しているようで、声が途切れた。

「部屋には、私のような見た目の像が五体ある—昔からここにあったのか、とても古く見える」

「水晶については……〈要塞〉のもののようだ。形と大きさから、年代記で読んだものを思い出す。魂を分割する、ある種の次元牢獄だ。地下室のポータルがここにつながっていたのは偶然とは思えない。この水晶は罠だと思う。再び集合するまで触るな—お前のことだぞ、モーテ」

「今はお前たちを見つけに行くつもりだ。この語り石を見つけたら、その場所を動くな。さもなければ見つけられない。像の基部に物資を残しておく。無駄にするな—敵を見つけ出し、ここから脱出するまで、どれだけかかるか分からない。この物資は後々必要になるだろう。すぐにまた会おう」

 さらに部屋を調べた。これが罠だとすれば、かつての私が訪ねた時から改善されているようだ。出口も、ポータルを起動する手段も見つからない。後は部屋の中央の水晶だけだ。

 巨大な水晶は部屋の中央に浮かびながら、奇怪な脈打つ光を放っている。そのリズムは心臓の鼓動を思い起こさせるが、ゆっくりで弱々しい。放たれた光が指のように部屋の端に触れ、それぞれの光線が周囲の像の荒れ果てた顔を照らしている。私は水晶に手を伸ばした。

 水晶に触れると、めまいがした。そして寒気がゆっくりと体を通り抜け、筋肉が硬直し、手が水晶の表面に凍りついていることに気づいた。一瞬の沈黙の後、鋭い痛みが体を裂いた—自分の存在自体が氷に変わったように感じ、そして……


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