プレーンスケープ トーメント 非公式小説

カルケリ

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 カーストに戻ると、そこにあるのは廃墟はいきょだけだった。奇妙なことに、周囲の瓦礫はカーストを構成していた建物のほんの一部に過ぎなかった。さらに妙なことに、死体がなく、動物すらいなかった。

 廃墟はいきょをさまよっているうちに、牢獄次元界カルケリへのゲートがまだ存在しているのを見つけた。私たちが近づくと、ゲートの腐った頭たちが喋りはじめた。彼らは順番に喋ることで、一貫した文章を紡いだ。

「消えた、消えた。裏切り者によって失われた、光によって失われた」

「街に何が起きたんだ?」

「風にさらわれた、悪の波にのまれた。ゲートを通って、消えた、消えた。街は、消えた、自らの怨恨によって、失われた。ゲートを通って、紅き牢獄へ、牢獄次元界へ……カルケリへ」

「そこに行く方法や、街をここに戻す方法について、何か知らないか?」

「ゲートを通って、牢獄へ……牢獄からの帰り道はない、帰り道はない。ゲートを通れ、ゲートを通れ……そこでお前の運命が待っている」

「私の運命について、何を知っているんだ?」

「デーヴァがお前を待っている」

 頭たちは沈黙し、それ以上質問に答えなかった。

 私たちはポータルを通り、カルケリへ向かった。カーストの新たな故郷に立つと、近くから人々の声が聞こえた。人々の怒鳴り声と叫び声が。みすぼらしい年老いた男が角を曲がって歩いてきて、私たちを歓迎した。カーストのごみ捨て場の番人カイスだ。

「旅人よ! 待っとくれ! この場所に何が起きたか話さなければ!」

「何が起きたんだ?」

「旅人よ、お主は災厄の街に戻ってきたのだ。デーヴァがわしらをこの破滅に導いて、意気揚々と瓦礫の上に立っておる。帰る方法は一つしかない—あのデーヴァを打ち倒し、この街の裏切りと詐欺を改めさせることだ。街の赦しの信念が強いほど、あのデーヴァは弱まるだろう」

「トリアスがこれを?」

「あのデーヴァが地面からあらわれて、街の不正に判決を下しおった。周囲で建物が倒れ、ひどい混乱が起きて—そしてわしらはここにたどり着いたのだ。トリアスと戦う方法は一つしかない—善行によって、町民の心を混沌と悪から善へと向けることで、やつを弱らせるのだ。そうしなければ、やつの勝利は揺るがんだろう」

 彼は周囲を見た。

「わしはやることがある。休息が必要なら、古い兵舎か蒸留所を探すのだ」

 私たちは街を歩き回った。市民たちはこの出来事について、互いを責め合っていた。私は出会う人々に、連携することがカーストをアウトランズに戻す唯一のチャンスだと説得しようとした。すでに数体のゲレレスが獲物を察知して街に入りこんでいたため、見つけ次第滅ぼしていった。互いに争うことをやめないカーストの市民たちも、殺さざるを得なかった。

 行政棟に近づくと、とある人物があらわれた。トリアスを解放する前にカーストの地下で会った世捨て人だ。歳と暗闇とで背中が曲がりひねくれた、汚らしい男だ。彼は周囲を見回してから出し抜けに喋り、肩から長い脂ぎった髪がはらりと飛んだ。

「管理人のカイスに、あんたが来たと聞いた。うまくやつを弱らせたようだな……街の混沌が静まっとる。やつの計画はうまくいかんだろう。用心して仕事を終えることだ」

 彼は行政棟を指し示した。

「どうやって知ったんだ?」

「やつがあの上で、燃える月のように満ち欠けしとるのが感じられる。いつあんたが来るか、いぶかしんどるのが聞こえる。やつは対決を心待ちにしとるぞ」


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