私に対する罠はすでに起動したことから、他の石も試すことにした。過去の私による別種の罠が待ち受けているとも知らずに。
水色の感覚石の前に立った。この石の基部の彫刻は、下の台座に溶けこんでいるかのようだ。完璧な淡青色の涙が側面を流れ落ち、台座の下の『憧れ』という銘をふち取っている。
石に両手を置くと、その下で表面が波打った。渓流に両手を沈めたかのように、冷たさが打ち寄せた。
目を閉じ、しばたかせ、そして開いた——涙があふれ、溺れるような感覚に襲われた。それが過ぎ去ると、胸の中が震え、蛇のように有毒な渇望が心臓に噛みつき、胸が引き裂かれるように感じた。必死に落ち着こうと、集中しようとしたが、目に浮かぶのは涙だけだ……
手で涙をぬぐう——柔らかく繊細な、女性の手で。はぐれた涙を頬から払う。両手に落ちた涙は、光の中できらめく宝石のようだ……
私の聖域を漂う
目を閉じても、心の中で彼の言葉が響く。何百回も、何千回も。彼が二度と戻ってこないかもしれない?! 声がささやき、反響する。「お前だけ。お前
「お前だけ。お前
ぱっと目を開く——
「私を助けられるのはお前だけだ、ダイアナーラ。しかしお前の助けを求めたのは、よくないことだった……」
私は言った……ダイアナーラと……しかし私は、これは
視界が引き裂かれて二重になり、光から歩み出る男になった。これは
「ダイアナーラ、私と同行させるため、お前には無理を言いすぎた。お前をそんな危険にさらす権利など、私にはない……」
それは私の言葉だったが、外科医のような言葉だった。冷たい技術によって選ばれ、感情の痕跡もない。一言ごとに、心の中の嘲笑が感じられた。この打ちひしがれた少女が、その憧れで曇った目で次に何を見るのか、手に取るように分かる。そして、誰が彼女をねじ曲げたのかも——それは
「お前に許してもらいに来たんだ、ダイアナーラ。私は可能な限り早く、お前の元に戻ってくる——」
再び視界が引き裂かれ、二重ににじんだ。再び自分自身に対峙し、私は必死に喋ろうとした。ダイアナーラに警告しようとした。彼は人ではない。ダイアナーラのことを気にも留めずに、自分のために殺す化け物だ。お前は彼の道具ではない。彼が必要とする道具では——しかしダイアナーラは喋り、私には止めることができなかった……
「あなたのためなら幾千の危険に飛びこんで、永遠を受け入れるわ! 怖くなんてない! 聞いて——たとえ次元界自体に阻まれたとしても、私はあなたに付いていくわ……」
粉々に打ち砕かれ、そして安堵と満足を感じた——彼女の言葉に対する、彼の満足を。彼女はそう言うと知っていた。初めから知っていた。その愛の告白は、心の中の落とし格子を下ろすようなものだ。罠にかかった。彼女は私のものだ。しかし、万全を期すべきだ。念入りに
「危険な道だ。お前は強くならなければならない……今よりもはるかに」
彼女の心の中を揺らめく安堵、安堵の波。憧れが終わり、それでも彼の言葉に焦がれている。彼の細工には気づかずに……必要なのは強くなることだけ。そうすれば、彼の道と私の道は一つになる! 思考がまるで炎のよう……私は強くなれる、彼が思うよりも強く。恐怖なんて知らない。彼のためなら、
「私は強くなれるわ、愛しのあなた。私は——」
彼女の言葉は、水のように彼から流れ落ちる。胸の中の蛇、毒牙を心臓に突き立てている蛇が、実体を手に入れた。しかし彼女には見ることができない。そして彼の次の言葉は、注意深く、注意深く計算されたものだった……
「うまくいくかは分からない、ダイアナーラ。しかしお前のことは全力で守ろう。お前もそうだと信じている。お前は……」
「……お前は、犠牲を強いられることになるかもしれない」
その恐ろしい言葉に、私は再び引き裂かれるように感じた。彼女を傷つけるつもりだ……
「もちろんよ、愛しのあなた。生は犠牲。私はそう学んだわ」
私は……彼女は……彼女は……私はそう言って、そして、内なる自分が死ぬのを感じた。私は観客で、一人の女性が死ぬ様を見ていた。その言葉は死刑宣告だった。それでもまだ、まだ彼女は喋り続ける。無防備に、不注意に……
「私……遺産を遺したのよ、愛しのあなた。父が管理しているわ。6番、3番、K、そしてSを請求して。その中に、あなたのためのすべてを遺したわ。多くはないけれど、でもそこに私は……」
私に……彼に……苛立ちの波が押し寄せた。顔には出さないように、歯を噛みしめる。私が促さないときでさえ、無駄口を叩かなければ気が済まないのか?! 彼女は——いや——駄目だ、苛立ちは胸に秘めておこう。にじませるとしても、わずかだけ……
「だが、私は
彼女は……私は……彼女は恐怖に襲われた。私を不快にしてしまったという恐怖、恐怖が彼女の中で渦巻く……私は、私は彼が眉をひそめるのを目にした。急いで訂正しなければ! 理由を分かってくれるはず、隠された知恵を分かってくれるはず、私の計画に驚くはず! 話さなければ! 彼が背を向ける前に……
「自分がたびたび愚かなことをしてしまうのは知っているわ、愛しのあなた……でも、あなたが言ったのよ。ひどく傷つけば、忘れてしまうかもしれないって。万が一忘れてしまったときに助けになるものが、遺産の中にあるわ」
彼女を……私は自分の目で、冷ややかに彼女を見つめた。私の視線が、心配と必死さでしわが寄った彼女の額をなぞる。彼女の行動は想定内だ……だが彼女の言葉には、何か引っかかるものがある……
「あるいはな……それでも私は、その遺産に価値あるものがないことを願っている……旅で何かの役に立つかもしれないものを、そんな安全な場所に遺しておいて欲しくはない」
一瞬だけ、彼女の幻想が砕けた——感情が地面に落ち、水銀塗りガラスのように砕けるのを、私は黙って見つめていた。「……何かの役に立つ……」何気ない言葉だが、ダイアナーラにも見えたはずだ。私は願った。一瞬でも、彼が何であるかを彼女が見たことを……蛇だ、蛇なんだ……そして、私の希望は潰えた。ダイアナーラの瞳の中で感情が再構築され、銀が地面から舞い戻り、幻想が再構成され、わずかな痛みの薄片だけが残った。馬鹿なことをしたと思われてしまった! 彼のためなのに! どうにか……埋め合わせをしなければ。でもどうやって?! 遺産は重要ではないと説得しなければ。でも違う、違う。あれは、
「愛しのあなた、あの遺産は、その……あなたが思い出すのを助けるための、ちょっとした——」
言葉の鎌がダイアナーラに振り下ろされた。あまりに速く、あまりに鋭く、軌跡を追うことすらできなかった。
「遺産だと? ダイアナーラ、お前がしたのは……ただの……空想的な行動だ。取るに足らない……」
違う! 彼女は……私は……ダイアナーラは……また彼を追いやってしまった、昨晩のように! 再び蛇がうごめき、再生し、心臓に巻きつくのを感じた。柔らかいしゅうしゅうという音がする。でも彼には聞こえない……
「あなたは……あなたは遺産を遺したいと思わないの? あなたのために……誰かのために。自分のために……愛した者のために……何か残せば、思い出す助けになるかもしれないわ……」
再び言葉の鎌が振り下ろされた。厳しく、迅速に。それでも今回は、幻想は壊れなかった。蛇は隠れていた。狡猾な蛇は、打ち倒されるまで姿を見せることはない。
「自分のための遺産? とんでもない……ダイアナーラ、私が自分のために残すものは、
彼が行ってしまう! 引き止めなければ……そして私の周囲で、経験が恐ろしく渦を巻き、最後の光景へと進んでいく……質問を、私は……彼女は……訊きたかった。やめろ、ダイアナーラ! 訊くんじゃない! 黙れ! 黙るんだ——
「愛しのあなた、その前に……」
彼の怒り、苛立ち。今度は何だ小娘! 今度は何だ、泣き虫のバンシーめ!
「『その前に』? 今は何の危険もないだろう。ダイアナーラ、朝まで待てないのか? もう十分に——」
彼女は……私は……彼女は必死に切実に、彼女は彼女は彼女は……私は……言った。
「愛しのあなた、私に一緒に来て欲しいの?」
心の中の激情がやんだ。これで終わりだ。彼が……私が……語ろうとしていた言葉は真実だった。しかし彼女が見た真実とは違う。嘘はない、あるのは冷酷な計算だけ。もちろん、彼はお前に一緒に来て欲しいのだ、ダイアナーラ。はっきりと理解できる。はっきりすぎるほどに。哀れな少女を連れ出すため、彼は多大な投資をしていた。
「もちろんだ、ダイアナーラ。お前の同行を望んでいなければ、一緒に来るよう頼むことなどない。お前に対する私の気持ちは、知っているはずだ……」
彼の心の中に、冷たい沈黙が訪れた。しゅうしゅうと音を立てる思考と、短剣の刃のように鋭く致命的な返答。感情にとらわれずに、すぐに嘘が口をついた。
「ダイアナーラ、お前を愛している」
嘘が
喜びで叫んだ……苛立ちで叫んだ……喜びで叫んだ……絶望で叫んだ……
感情が押し寄せる。溺れるように、溺れるように。喋らなければ。喋りたい。しかし、できない……そして……
叫んだ。叫びながら両手を石から引き剥がす。目から血の涙が流れ、腕を流れ、手を流れ、石の表面を覆う。血だ! 彼女の血だ! 私には……彼女に警告することができない……叫びを止めることができない……
フォール゠フロム゠グレイスがそこにいた。彼女の手はシルクのように優しく、叫び声が渦巻くのを感じると同時に、目から涙を払ってくれた。血の涙ごと、私の頭を抱きしめてくれた。
「私には……私には……耐えられない……彼女を……止められなかった。止めたかった。でも
フォール゠フロム゠グレイスが私の瞳を覗きこみ、理解し、悲しそうにうなずいた。
「そしてそれが、変えることも手に入れることもできないものへの欲求が、『憧れ』の本質なのです」
彼女は私を見つめ、血に濡れた手を離した。
「大丈夫でしょうか?」
「ああ……ああ……時間が、必要なだけだ……」
私はアンナに見られていることに気づいた。彼女は手を中途半端に上げ、何をすべきか分からず、麻痺してしまったかのように動かない。
「それは何よりです……」
フォール゠フロム゠グレイスが離れた。
「あなたの準備ができたら、先へ進むとしましょう」
私は息をつき、考えをまとめようとした。
こんな経験の記憶は放り出したかったが、覚えておくことが重要だと分かっていたため、しっかりとつなぎ止めた。経験の中にいたのは、
〈催事場〉を離れることも考えたが、他の感覚石に役立つものがあるかもしれない。今しがた終えたような経験があったとしても、続けることにした。同じような経験をすることが、あるかもしれないのだから。