円に沿って次の部屋へ進んだ。そこにいたのは、
「こちらこそ、会えて嬉しいわ」
燃える瞳が私をめぐる。
「私はケサイ゠セリス。さあ、教えて。あなたのために、何をしましょうか?」
「なんでもだ!」
モーテが叫んだ。
「アンタがオレにしたいこと、なんでも!」
ケサイは心から笑い、牙と言えるほど長い犬歯をあらわにした。彼女は頭を振り、モーテに微笑んだ。
「本当にね、でも訊かせて……あなたと何をしましょうか?」
私は彼女の質問を質問でそらした。
「差しつかえなければ、お前は何なんだ?」
ケサイは頭を振った。
「あら、分からないの?」
彼女は姿勢を正し、たっぷりな胸部を突き出した。
「女よ!」
そして片眉を上げた。
「この答えはお気に召さなかったみたいね……私は次元障りよ、あなたのお友だちみたいに」
ケサイはアンナを指し示した。
「あなたが知る必要があるのは、それだけね」
ヴィヴィアンの匂いがどこに行ったか知らないか訊いた。
「いえ、知らないわ」
ケサイは眉をひそめた。
「皆は彼女のことを小うるさいと言うでしょうけど、私に対しては親切だったわ……この目を褒めてくれたの……それに、とてもいい匂いだわ! すぐに見つかるといいのだけど」
彼女と話していて、そのエキゾチックな顔立ちが美しくないわけではないと気づいた。
「本当にとても麗しい目をしているな」
「ちっ」
アンナが目を回して冷笑する。
「バカばっかり」
「心配するな、アンナ……お前も同じように麗しい」
失言だと気づいたのは、言い終えた後だった。
「どういう意味かしら、このぶっ
アンナはつばを吐いて背を向け、部屋から出て行った。ケサイ゠セリスは肩をすくめて私に視線を戻し、賛辞に答えた。
「あら、ありがとう! 闇の中で光ってると……奇怪じゃないかしら?」
彼女は間を置いて私を見た。
「あなたもいい目をしてるわね……暗くて、神秘的だわ! 個性豊かね」
私は次にマリッサのヴェールについて訊いた。
「う~ん。いえ、彼女が身につけてたとき以来、見てないわ……でもネニーは何か見てるかもしれないから、彼女に訊いてみて。まあ、ヴェールがなくなってよかったことは認めるけど……ヴェールがなければマリッサは部屋を離れないから、毒舌をあびなくてすむもの……私たちはキマクシィの相手をするだけでいいのよ」
ケサイは微笑んだ。
「でもあの二人なら、キマクシィのほうがひどいけど」
「どんな風にだ?」
「マリッサは傲慢で意地悪だけど、キマクシィは……毒舌とバロールの態度をそなえた、辛辣で意地悪な怪物よ。彼女と話したい人がいる理由が分からないわ——あの見た目が、罵倒を吐く有毒な口の埋め合わせになってるとは思えないし——それでも彼女には、客がいるのよ」
私はケサイの才能に興味を持った。
「ええと、普段のお前は客に何をしているんだ?」
「話すことよ、もちろん! 普通は夢について、ときには性愛についても……でも、いつもじゃないわ!」
ケサイはウィンクし、微笑んだ。
「だから! あなたの夢を教えてくれない? 恥ずかしがらないで。私はあらゆることを聞いてきたわ。ショックを受けたり驚いたりしないし、人の夢を聞くのが大好きなの。お望みなら、交換でもいいわよ……でもまずはあなたから」
私は彼女の軽い雰囲気に調子を合わせた。
「私の夢は、お前を見た瞬間に変わってしまったよ、お嬢さん……」
「あら、そう?」
ケサイは微笑み、きらめく紅い瞳で再び私を見つめた。
「あなた、とても乱暴そうね? 教えて、恋人にも乱暴なのかしら? 行為の最中は、その……荒っぽいの?」
「なぜそんなことを訊くんだ?」
「興味があるのよ……それに愛の行為について話すのは楽しいわ。多くの人は話したがらないけど、重要なことよ。特にパートナーと話すことは——二人にとって、良いことなのよ! 私の望みは、お客さんたちが恋人とそのことをまだ話せてないなら、話せるようになること。それで、あなたの答えをまだ聞いてないわ……」
「荒っぽくするのは、相手が悦ぶときだけだ」
そのような行為の記憶はないが、少なくともそうすると思う。ここ数日はそのような話題について考える余裕がなかった。そしてそのことを真面目に考えた女性とは、未解決の問題が山ほどある。アンナのことを考えると、今のコメントは彼女を駄々っ子として扱うような不適切なものだったと気づいた。彼女も、自身の嫉妬に対処する良い方法を見つける必要があるとはいえ……
「そう言うと思ったわ。私自身は、とっても乱暴よ……担ぎ回されるのが、特に噛みつくのが好き! でも私の歯は鋭いから、気をつけなきゃならないわ。ときには夢中になって、血を流しちゃうのよ」
モーテが言った。
「涙で前が見えないぜ……オレに体があった時、この娘はどこにいたんだよ?!」
「きっとアウトランズをさまよってたわ。でも、それは
彼女はモーテにウィンクし、再び私を見た。
「歯が鋭いのか?」
彼女の歯はちらりとしか見えなかったので、そう訊いた。ケサイはうなずいた。
「うんうん、そうよ。見たい? ほら……」
彼女はわずかに口を開け、紫色の舌を下の歯に沿わせた。犬歯が牙と言えるほど長い。しかし彼女の牙は、それほど危険には見えなかった。
「私は噛まれても気にならなそうだ」
ケサイは笑った。
「その厚い皮膚を貫くことはできなそうね。感覚はしっかり残ってるのかしら?」
「いや、残念ながらあまり。傷がとても深いんだ」
「ああ、残念ね。本当に傷がいっぱいだわ……」
ケサイは私の顔を近くで見た。
「唇やまぶたも……教えて、体じゅう傷だらけなの? つまり……
「いや、そうでもない。体の一部は、なぜか傷を寄せ付けないようだ」
「それはいいわね!」
ケサイは楽しげに笑い、そして両手を腰に当て、真面目そうな顔をした。
「まだあなたは、夢について話してないわ。さあ、聞かせて!」
「実は……夢などないんだ」
それが文字通りの真実であることに、私は気づいた——思い出にあふれたこの数日だけでなく、もっと昔までさかのぼってさえも。ケサイは驚いて眉毛をつり上げた。
「本当に? なんて悲しいの! フィーンドやデーヴァさえ夢を見るのよ。本当に、夢がないの?」
「確かだ。夢はない」