霊廟を離れて再び〈葬儀場〉に入り、盲目のゾンビを捜した。そして彼に〈
「な……お前!」
ゾンビはショックを受けたようだが、嬉しそうだ。
「〈
彼の正体を尋ねた。
「まあ、この汚い白布をはいで、愚かなるザカリアを見出すのは難しいよな? それが俺だ、
ザカリアは喉の穴からゼーゼーと音を立てた。
「お前も死んだのか?」
「いや、長い話だが……私は死んでいない」
「おいおい、
「ここで何をしている?」
「こんな命がない場所で、馬子をやってるんだ。永遠の境界を越えられれば、そして故郷と呼べる次元界があればよかったんだが、俺の魂は浪費されるばかりだ。それで今、ここにいる」
「ゾンビになるのはどんな感じだ?」
「堅気な仕事だよ……」
ザカリアの口から糸がほどけ、唇が笑顔と思われる形にめくれ上がった。
「……どうでもいいけどな」
「なぜそんな状況に?」
彼は恥じ入るかのように声を落とした。
「お前に付いていくのは大変だったんだ、
「私の以前の人生について、何か話せることは?」
「なんでだ? 忘れたのか?」
「ある意味では……そうだ」
「まあ……変なやつだったな。いつも疑り深くて、何かを探してた……お前みたいなやつには、敵がたくさんいたんだろう。盾突いたやつらが
「他には? 何か具体的なことは……」
「べらぼうに無慈悲でもあった……俺にあの契約をさせた時とか、泣き叫ぶ子供をアヴェルヌスに捨てた時とかな。バロールみたいな時もあった。お前のもとから逃げ出そうなんて、妄想するやつさえいなかったよ」
「根本的に、お前は自分に起きたことを、戦争の侵略みたいに見てた。お前にとってはすべてが戦いで、俺が出会った中では一番冷酷なクソ野郎だったかもな。目的を達すること以外は、気にも留めてなかった。哀れなダイアナーラが泣きながら訴えても、お前はびくともしない。ギスがお前の戦略を戒めても、この次元界にたどり着いた時に哀れなザカリアが止めようとしてもな。死なないみたいにタフだったけど、俺たちはただのヒューマンだ。みんな
「お前が俺たちのもとを去った時、残していったものがある……主人のいないダッコンと、友人のいない頭蓋骨だ。俺は? お前は俺の奥深くに何かを突き刺して、そいつは生きてるあいだも出てこなかった。それが俺の血を冷たくして、胸の中に鉛の塊みたいに居座ってるんだ」
ダイアナーラについて尋ねた。
「あの可愛らしい“兵士志望の女の子”は、バートルにだってお前に付いていくと誓ってた。そして
「私は彼女に何を望んでいたんだ?」
「俺が照らせなかった闇の一つだな、
「ギスについては、何か知っているか?」
先ほどのダッコンとの議論の後では、ザカリアの言葉が彼をさらに傷つけることはないだろう。
「いかめしいギスだった……愛想がなくて、無口。他のギスと同じようにな。少しも信じてなかったよ、俺は。いいか、
彼の考え方に興味をひかれ、私と同じ疑いを持っているか確かめるために、モーテについて質問した。
「あの口汚い頭蓋骨は、いつも殴られたがってたぞ、まったく! 生意気な口をきいて、俺の境遇をからかってくるんだ!」
「お前は……盲目の射手……だったんだろう?」
「そうだ。本当に忘れちまったのか? どんなやつも、その眼以上のもので見てるんだ、
「私の日記がどうなったか知らないか?」
「お前自身の肉体を縫い合わせた、俺の生涯よりもページが多い、あのスクラップブックのことか?! あの恐ろしい本をなくしたなら幸せだぞ! お前はいつもあれに書きこんでて、恐怖の臭いをまき散らしてた。誰かに盗られるのを恐れてるみたいだったな……指の皮膚が裂けるほど書きこんで、ペンを通して
立ち去る前に、ザカリアから頼み事を受けた。彼は恥じ入るかのように声を落とした。
「俺はいくつか間違いを犯した。本当にひどい間違いをな。一番の間違いは、
「きっとこの死体は、まだまだ持つ……そしてその毎日が、俺には長すぎる。昔のよしみで……俺を殺してくれないか? この〈葬儀場〉でさらに何年も青ざめたやつらと過ごすのは、ひどく恐ろしいんだ。あるべき
「それがお前の望みなら……」
私がザカリアを殺し、彼はドサリと床に倒れた。死体からしゅうしゅうと音がして、胸が一度波打つ。そしてかすかに震え、沈黙した。
「安らかに眠れ、ザカリア」