プレーンスケープ トーメント 非公式小説

モーテ、PART 1

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 もう少しモーテについて知るべき時だと感じ、彼自身について話すよう求めた。彼は歩いているあいだずっと喋り続け、二度と止まらないのではないかと心配になった。

「もちろん、オレについての疑問はあるだろうね—アンタはきっと、森羅万象に対して疑問だらけだ。だからアンタのために煎じ詰めてあげるよ。オレくらい長く死んでれば……そして腕も脚も、アレもコレもなかったら、考えて過ごすしかないだろ? 死者帳ししゃちょうに記されてから数百年くらいだと思うんだけど……のしかかってくる死ぬべき運命がなくなると、昼も夜もまぜこぜになって、時の流れがまったく変わるんだ。だからあんなことや、こんなことを考える……それで数百年かそこらで学んだ一番大切な知恵は……」

「眼とあごだけでできる卑猥なジェスチャーが、思ったよりもたくさんあるってことだね。罵倒やののしりに頼らなくたって、眼の動きとあごの音を正しく組み合わせるだけで、誰かのたき火を燃やせるんだ。ヤツらを泡々あわあわに! もしアンタが首を切られて頭蓋骨から皮をはがれたら、やり方を教えてあげるよ。本当に貴重な情報だぜ、大将—デーヴァを殺人鬼にだって変えられるんだ」

「考えてることはわかるよ。オレは死んでる。たくさんのものを失った。喜びや愛をなくして、酔いが覚めちまうだろうって。死に対してナーバスになるヤツらもいる—もちろん、試したことなんかないだろうけどね—でもヤツらがまったく気づいてなさそうなのは、物事に対する考え方の変化だよ。人生をもう一度見直すことになって、視野が広がるんだ。オレにとっては、このおさとにどれだけたくさんの死娘しむすめがいるかってことと、オレみたいな弁舌鋭い男がどれだけ少ないかってことを気づかせてくれたね—正しく輪を回せば、ひとりっきりの夜とはおさらばさ!」

「軽薄? オレは軽薄じゃないよ。ただアルボレアから〈灰色の荒野〉まで、あらゆる与太者よたもんにしみついた哲学と信念と信仰に、とらわれてないだけなんだ。どうでもいいだろ? この次元界はあるがまま、アンタもあるがまま。変わるならそれでいいけど、そのままだって悪くない—それを知ってるんだ。さあ、次元界のことや、うたいのことや、人々のことや、文化のこと、何でも訊いてくれ—アンタもオレみたいになったら—つまり、まぶたがなくなったら—たくさんのものが見えるようになるよ。だからアンタが知りたいことは、ほとんど何でも教えてあげられる」

「つまり、オレたちは独りじゃないんだぜ、大将。この旅が終わるまで、アンタの足みたいにくっついてくよ」


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